「やっ…――やめてよっ…こんな事…!」
悲鳴は弱々しい。
逃げ出そうとした身体を捉えるのは、三人分の男の手。
「や、だよっ…」
どうしてこんな、と理樹は混乱する頭で考える。
発端はきっと、恭介と真人と謙吾の三人に、告白された事。それ自体は大分前の話だが、何より問題は――理樹が誰も選べなかった、という点だろう。
以来ずっと、四人でいると何かとギクシャクしたり、あまりいい状態とは言えない日が続いた。
そんな時、恭介から話があると言われた。怖い顔で絶対に来いと言われて、断れる雰囲気ではなかった。
そうして理樹が寮の部屋を訪れた時、そこには既に、真人と謙吾もいて。
三人に迫られて、だがやはり理樹は答えを出せず。
黙った理樹に、恭介がそれならと、耳を疑うような提案をした。曰く――三人のものになれ、というのだ。
ベットに押さえつけられて、理樹は慌てて逃げ出そうとしたが、結局無理だった。
只でさえ男四人の中で最も非力な理樹に、とてもではないが抗う術はない。あっという間にベットの上に引きずり戻されて、華奢な身体がシーツの海に沈む。
慌てて起き上がった理樹の目の前には、恭介の姿。
「っ…きょうっ…」
「理樹――」
正面の恭介は、切れ長の眼を細めて理樹の顎を掴む。身を竦ませる理樹の様子に、恭介の笑みが深くなる。
「可愛いな、理樹」
「や、やだよ恭介っ…――んぐっ!?」
いきなり口を塞がれて、理樹は目を見開いた。ぬめる舌が、軟体動物のように絡んできて、その未知の感覚にくぐもった声を上げる。
横にいた真人が、理樹の上着へと手を伸ばしてくる。そのまま乱暴に前が開かれた。
「すまねぇ、理樹…お前に、こんな事…」
「理樹。…下も脱がすぞ」
そう言った謙吾が、理樹のズボンに手を掛ける。せめてもの抵抗と足をジタバタと動かしたが、所詮は無駄な抵抗だった。
あっさり下を剥ぎ取られる。
「んっん、……はっ――や、やめっ…!」
「駄目だ、理樹。…今更、止められると思うのか?」
残酷に宣言し、恭介は理樹の背後へと回る。ぎくりと怯える理樹を後ろから抱き締め、まだその身体を覆っている上着を肩から落とす。
恭介は、それを腕から抜くことなく、途中で袖と腕とを結びつけた。
「な、なにっ…やだっ解いてよ!」
上着で後ろ手に縛られる事になった理樹は、驚いて悲鳴を上げる。
だが、恭介は薄らと笑みを浮かべるばかりで、理樹の声に耳を傾ける様子はない。寧ろ楽しそうに目を細めただけだった。
背後からは恭介が、横からは真人が、前からは謙吾が、それぞれ理樹に手を伸ばしてくる。
「や、止めようよこんなっ…おかしいよっ」
必死に言葉を募るが、行為が止む気配はない。
「理樹、俺っ…!」
息を荒げた真人が、乱暴に理樹の胸のあたりを掴むように揉んでくる。
「ぃ…っつ…!」
「わ、悪ぃっ…その、や、優しくするな…?」
真人は切羽詰まったような眼をしながらも、痛みを訴えた理樹に慌てて力を緩める。
ぎこちなく真人の手が動く。分厚い手の平に胸の尖りが擦れて、痛みのようなその感覚に理樹は唇を噛み締めた。
「理樹…俺も触っていいか」
前にいる謙吾も、そっと理樹に触れてくる。あくまで優しく、じれったい程の緩慢な動きで慎重に撫でてくる無骨な指。
武道を嗜む謙吾の指は硬く厚い皮膚で覆われている。ザラリとした感触が肌の上を這って行くたび、理樹は声を上げそうになった。
「――理樹」
やがて耳朶に落とされる、欲を孕む声。
うしろから恭介の手が足の付け根に伸びる。何をされるのかと怯えた理樹は、慌てて膝を立てて太腿を合わせた。
恭介は、ゆっくりと太腿の表面を撫で上げた。膝の辺りで手を腿の裏側に回し、今度は撫で下ろす。
「っ――ぁっ…!」
指先が擽るように根元を掠り、その奥の後ろへと忍び寄っていく。そんな事が何度も繰り返される。
肌の上を這う男達の手の感触に、理樹は只身体を震わせる。
身体中を撫で回されて、恐怖はあったが嫌悪はなかった。ゾクゾクと、悪寒にも似たものが背筋を這いあがる。
それがやがて、熱をもたらした。理樹は自分の身体の反応に戸惑い、驚いた。必死に膝を立ててそれを隠そうと試みる。
だが、熱はどんどん上がっていくばかりで、治まる様子はない。皆に触れられて、嬲られて、なのに感じていた。
首を振って、身体の変化を否定する。
「や、だ…やめてよっ…」
身体の反応とは裏腹なセリフを口にした途端、恭介が耳元でクスリと笑った。
「そうか?その割に…勃ってるぜ?」
「っ…!」
その指摘に理樹は息を飲む。バレていた。触れられもしないのに、下肢は熱を持っている。
「ち、ちがっ…これは」
「何が違うって?――ほら、理樹。皆にも見て貰えよ」
耳元に唇を押し付ける様にしてそう囁いた恭介は、後から理樹の膝裏に手を差し入れた。
ぐっと持ち上げて、左右に開く。きつく合わせていたはずの太腿が、あっさりと広げられる。
「――ぃ、やだぁっ…!」
嗚咽に近い悲鳴。
真人と謙吾に目の前に、隠しようもなく猥らな自分の姿が曝け出される。
震えて勃ちあがるそれを目にして、真人が、安心したように息を吐く。
「へっ…何だよ、理樹もちゃんと感じてたのかよ…」
「……そ、んな…」
「理樹も、俺達に触られて気持ち良かったんだな」
謙吾は嬉しそうに言って、そっと理樹の先端を指で撫でた。
「ひ、ぁ…!」
敏感な箇所を、ざらりと硬い指の腹で撫でられて理樹の腰が跳ね上がる。過敏な反応に、謙吾が少し驚いたように瞠目した。
「…感じるのか?」
「あ、ぁ、…や、めてっ…さわらない、でっ…!」
「だが、気持ちいいんだろう…?」
謙吾は優しく言って、再び理樹の先端を撫で始める。その度に、無理矢理開かれた内股の筋がびくびくと震える。
二人の様子を見ていた真人が、ごくりと唾を飲み込んで、同じように理樹の下肢へと手を伸ばす。
「理樹…俺も、触るからな」
「や、やだ、やだよっ…止めてよ真人っ…――あ、ぅ…!」
ぐっと幹の部分を握られて、理樹は息を飲む。
「う、動かすぜ?」
「――い、ぁっ…あっ!」
そのまま上下に扱かれて、理樹の喉からか細く悲鳴があがる。
二人掛かりで最も敏感な箇所を弄り回され、噛み締めた唇の間から嬌声が漏れ出る。
「あ、――ん、んんっ……は、く…!」
すっかり勃ちあがった先端から雫が溢れて、二人の手を濡らしていく。くちゅくちゅと猥らな水音が響く中、理樹の腰が無意識に蠢いた。
その様子を見ながら、恭介は理樹の背中を少しばかり後ろに寝かせ、開かせていた太腿から下方へと手を滑らせる。
辿り着いた双丘の狭間で、ひっそり息づく入口に指先を押し当てる。途端に、理樹の表情が強張る。
「――やっ…な、に…!」
「大丈夫だ理樹。怖くない」
伝ってきた先走りで、まるで濡れたようになっている入口を揉み解しながら、恭介は理樹の耳裏に口付けた。
ちゅっと音を立てて耳朶にキスをしながら、指を入口へ埋め込む。
「いっ――…!」
挿入される異物感に理樹が苦痛の色を浮かべる。だがそれも一瞬だった。
真人と謙吾の二人に前を刺激され、忽ち理樹の声は甘い嬌声に変わる。三人に後と前を同時に責められ、苦痛とも快楽ともつかないその未知の感覚に、理樹はただ翻弄される。
「っ――ぁ、……ふ、うっ…」
必死に奥歯を噛んで声を耐えようとするが、それでも勝手に喘ぎ混じりの吐息が漏れていく。
真人の分厚い手が幹を擦り上げ、謙吾の無骨だが繊細な指が先端を包みこむように愛撫する。
後ろに入り込むしなやかな指は優しく、だが激しく中を行き来する。時折何か不可思議な感覚が走って、理樹は無意識に恭介の指を締め付ける。
「あ…ぅっ…も、やだぁ…」
「嘘つくな、理樹」
「うそ、じゃなっ…」
「そんな顔して何言ってんだよ」
恭介は、眼を細めて理樹の耳や頬に口付ける。その間も指は休みなく動く。
「前だってトロトロだしな?後ろも…結構好きだろ。エロいなぁお前」
「ん、あっ……なに、言って…!」
「だってお前、指突っ込むとすげぇ気持ち良さそうな顔するぜ?」
「そんな訳なっ…ひっ…ぁ!」
く、と中で指を曲げられ、擦れた箇所に突然快楽が走る。理樹は訳も分からず嬌声を上げた。
びくびくと全身が震える。
「っと、やっぱここか」
理樹の反応に、恭介がニヤリと笑む。
「さっきから、この辺りで良さそうな顔してたからな」
「や、なにっ…!?」
「安心しろ。――ちゃんと気持ちよくしてやるから」
そう言って薄く笑う恭介に、理樹は怯えを隠せない。震える理樹の顔を真人が覗きこむ。
「心配すんなって。俺ら、別にひでぇ事しようって訳じゃねぇからよ」
「安心していろ理樹」
しっかりした目で謙吾が理樹を見つめる。
「で、も……あ、――んっ…!」
戸惑う理樹から思考を奪う様に、二人が手を動かす。びくりと反応した直後、何か冷たい物を後ろに感じる。
何時の間にか恭介の手が、容器に入ったゼリー状のものを救いとり、理樹の下肢に塗りつけていた。
「きょうすけっ…何っ…!?」
「心配するな。――気持ちよくしてやるって言ったろ?」
優しささえ感じる柔らかな口調で、恭介は無情に理樹の下肢を嬲っていく。
三人かがりの愛撫に理樹の息は既に上がっていたが、それでも不安と理性はまだ残っていて、快楽を追おうとする本能を拒絶する。
だが、やがて直ぐに、理樹は恭介の言葉の真意を知る事になった。
挿入される圧迫感と異物感。不安を煽り、理性を取り戻させるそれが、次第に消えていく。
それどころか、恭介の指に蹂躙された箇所が火照ったように熱くなる。あられもなく身悶えそうになって、理樹はぎゅっと目を閉じた。
さっきのゼリー状のものに、何かが――今更になってそう気付く。
電流のように背筋を駆け上る快感。そこに最早苦痛はなく、悦楽に蕩けた身体が理樹の意思を引きずっていく。
快楽に負けまいと唇を噛み締めた時、恭介が不意に指を動かした。単なる挿入ではなく、理樹の感じる箇所を狙って抉る。
「ひっあ、ぁ、いや、あっ…!」
恭介の指が一点を撫で擦るだけで、理樹は悲鳴を上げて仰け反った。恭介の指を銜えこむように襞がヒクつき、二人の手を強請るように腰がうねる。
一度堕ちれば、その淫蕩な快楽から這い上がるのは至難の業だ。
途中で恭介が指を増やしてきたが、それすらも理樹の身体はきっちりと呑み込み、身悶える。
真人が「すげぇな」と呟く声が聞こえた。だが理樹はもう、自分の動きを制御できなかった。
身体の奥で熱が渦巻く。
「はっ…あ、あぁっ――もっ……だ、めっ…!」
「イキそうか?」
聞いてきた恭介に、理樹は必死で頷いた。
中と外から同時に三人に責められ、その快楽の前には最早恥も外聞もない。
「ホントエロいな、お前」
「んっぁ……!」
「ほら、イッていいぜ?」
恭介が中を指で掻き混ぜる。
その刺激に泣きそうになりながら、理樹は真人と謙吾を見上げた。
「い、あっ…おねがっ…まさと、けんごっ…手、はなしてっ…!」
「なんでだよ」
「理樹。いいからイけ。手の中に出していい」
あっさりと告げて、真人と謙吾は、手の中のものを同時にきつく擦りたてる。
びくりと理樹が目を見張り、そして次の瞬間身体を硬直させた。
「やっ…――ん、ぅっ…ぁア――っ!!」
何度も痙攣するように細い腰が跳ねる。鈴口からビュクリと白濁液が飛び散り、真人と謙吾の手を汚す。
はっ、はっ、とせわしなく呼吸しながら、理樹はぐったりと身体を弛緩させた。
未だに後ろで蠢く恭介の指に、時折身体を震わせる。
「さて…そろそろいいか…」
「え…?」
息も絶え絶えに、理樹は恭介を振り返ろうとした。だが次の瞬間、ズルリと体内から指を抜き取られ、次いで身体を上に持ち上げられる。
恭介が真人と謙吾に目配せすると、二人は横から理樹の膝を掬う様にして支える。
三人の支えで腰を浮かせられた理樹は、何が起こるのかと目に怯えを滲ませる。
「な、なに…?」
「理樹、力抜け。…じゃないと最初はさすがに痛いぜ?」
下の方からジッパーを下す音が聞こえた。
そして直ぐに、恭介の手が理樹の双丘を掴んでぐっと左右に割り広げる。やがて告げられた宣告に、理樹の顔が青ざめた。
「じゃあ…入れるぞ」
「なっ…や、めてっ嫌だよ止めてよっ!」
何度も頭を振る。だが、理樹の願いは誰にも聞き届けられず、凶器の切っ先が入口に押し当てられる。
「や、だ…やだぁぁっ入らないよそんなの無理っ…――ひっ」
浮かせられていた腰が恭介の上に落されていく。硬い肉の先端が、無理矢理入口を押し広げた。
「う、ぁ、ああぁぁっ…あ――っ!」
「くっ……きついなっ…」
先端を含ませ、恭介は眉根を寄せる。
「力抜けよ、理樹」
「っ――つ、ぅ……」
奥歯を噛み締めて、悲鳴を耐える理樹の目尻には涙が滲む。その苦痛を和らげようとでもするように、真人と謙吾の手が再び理樹の前に絡んで来る。
与えられる快楽と苦痛に、理樹は泣き叫びそうになった。
身体は徐々に落とされ、恭介の楔を否応なく呑み込まされていく。
内臓を押し上げるような圧迫感。無理に捩じ込まれる苦痛。だが、それも一時だった。
「…は、…ふ、――ぁ…」
「――いい子だ、理樹」
全部を体内に飲み込んで、半ば虚ろな瞳で放心する理樹を、恭介がそっと抱き締める。
そして、恭介の指がまるで確かめる様に結合箇所をなぞった瞬間、理樹は悲鳴を上げていた。
それは紛れもない嬌声だった。自分の上げた声に、理樹は思わず瞠目する。
目の前では、真人と謙吾がほっとしたような顔を見せている。
「ちゃんと感じてんだよな?理樹」
「泣いているからどうしようかと思ったが…恭介の言う通りだったな」
「ち、がっ…そ、なこと――……っ!」
「違わないさ」
恭介が緩く腰を突き上げれば、理樹は直ぐに言葉を失う。
蕩けるような快楽に、理樹の口からは引切り無しに喘ぎ声が零れ落ちる。
真人と謙吾が、理樹の正面に立つ。それと同時に、後ろ手に結ばれていた腕を解かれた。
やがて理樹の目前に突き付けられる、二人のそそり立った凶器。
「な、理樹。…握ってくれよ」
いつもの朗らかな様子からは想像も出来ない、獣じみた目で真人が理樹の手を掴み、己のものへと誘導していく。
朦朧とした意識の中、理樹はぼんやりと、血管の浮き出た巨大なそれを掴む。太くて握りきれないなと、考えたのはそんな事だった。
その顎を、無骨な指が捉える。
「理樹。――その、口を開けられるか…?」
こんな状況でも、謙吾はどこか遠慮がちに声を掛けてくる。理樹はそれを、優しいなと頭の片隅で思う。
何をされるのか、何を望まれているのかを半ば予測はできつつも、理樹は素直に口を開いた。
「理樹っ…」
「――ん、っんぅっ…」
理樹の唇を割って、熱く硬い肉が口内に入り込む。常日頃涼しげな謙吾の目元が赤く染まり、そこに明らかな情欲が滲む。
ぐっと乱暴に頭を掴まれ、次いで激しく口内を犯されて、理樹は苦しげに呻いた。
「ん、ぐ、んん――っ!」
口には謙吾を含み、右手は真人の手に掴まれて、一緒に硬いものを扱いている。耳元には恭介の荒い息が掛かり、身体を揺すり上げられる。
ぐちゅぐちゅと激しい水音が聞こえ、それにスプリングの軋む音が混じって、殊更淫靡な情景を醸し出す。
幼馴染で親友の三人に、理樹は絶望的なまでにその身体を支配されていた。
やがて真人が獣のように呻いて手の動きを早くする。理樹は硬く膨らんでいく謙吾の変化を口の中で感じ取り、激しくなっていく恭介の突き上げに悶えた。
触られもしないのに、理樹の中心はすでに勃ちあがって、先端から物欲しそうに先走りを滲ませる。
理樹は、真人のもの握っている手とは逆の方の手を、自分の下肢へと伸ばした。
羞恥など考える余裕もなく、握りしめて自ら扱く。びくびくと全身が震え、中を突き上げられる刺激と相まって、耐えようのない熱がせり上がる。
「んんっ――っっ…!」
容赦なく恭介の切っ先が内側の感じる所を抉り、理樹はあっさりと二度目の精を放つ。
同時に謙吾が理樹の頭を掻き抱くように押さえつけ、口内に熱を吐き出す。
キツく締め付けられた恭介が、耳元で呻き声を洩らす。理樹の体内に注がれていく白濁液。
やがて、少し遅れて真人が理樹の顔へと欲望をぶちまけた。
暫くは荒い呼吸だけが部屋の中に満ちる。
やがて、恭介が動いた。
「――はっく、…ん」
ズルリと後ろからまだ硬いままの肉棒を引き抜かれ、理樹は息を詰める。とろりと、体内に吐き出されたものが溢れてシーツに落ちる。
まだ快楽と熱に浮かされた頭で、それでも理樹は、ようやく終わったと安堵した。
崩れ落ちそうになった華奢な身体を、謙吾が支える。
「理樹…次は、――」
恭介と入れ替わるように、謙吾が理樹の背後に回る。
逃げるなどと考えることすらも出来ない。恭介と真人に腕と足とを掴まれ、身体を持ち上げられた。
三人とも、一度では満足できないとばかりにまだ硬い股間を理樹に見せつける。
理樹が怯える様に首を振るのも束の間。
「んっ…あぁっ…!」
身体を下ろされ、再び貫かれる感覚に理樹は泣く。――啼く。
目の前には二人のものが突き付けられ、理樹は命じられるまま片方を握って、片方を口に含む。
もうその口から拒絶の言葉は出てこない。
三人の男に支配され尽くし、蕩ける意識の下で、理樹はそれでも想った。
これで大事な三人を選ばずに済むのなら。
三人を等しく想い続けていいのなら。
誰も選ばなかったのは、――きっと正しい選択だったのだ、と。
*
「……いかがでしたでしょうか」
学食の片隅。
「一応、BADENDルートという設定なんですが…」
薄い本を手にする恭介さん。反応を伺うわたしに、恭介さんは険しい顔です。
どうしたんでしょうか。
「――悪いが」
パタンと本を閉じて、眉間に皺を刻んだまま本を返してくる恭介さん。
さすがにこれはやりすぎたかもしれません…。
気落ちするわたしに、恭介さんがやはり険しい顔のまま口を開きました。
「俺、漫画以外読まないんだ」
…は!そう言えばっ!!
わたしとした事がっ…すっかり失念していました…!
「――そうですか、残念です…」
漫画…残念ながら今のわたしにそのスキルはありません…。
ですが、そうですか漫画なら…。
「?どうした西園?」
「いえ。――ではその内、漫画にしたらお渡しします」
「マジか!悪いな、楽しみにしてるぜ」
「…ええ、楽しみです…」
わたしは恭介さんに、もし気が向いたらどうぞと一応小説の方も一冊預けて置くことにしました。
…もし直枝さんなり誰かなりが読んだら、面白い展開になるかもしれません。
わくわくしながら食堂を後にした所で、鈴さんと直枝さんに会いました。
どうやら恭介さんと約束していたようです。
これはきっと、この後の展開はこんな風でしょう。
鈴さんが「みおの本だ」とあっさり看破。直枝さんが「どんなの?」と覗きこみ、やがて真っ赤になって恭介さんに八つ当たり。
井ノ原さんや宮沢さんも会話に加わって、――これは楽しみです…!
思わず帰るフリをして、食堂の厨房に侵入してしまいました…。
え?…はい?その後の展開、ですか?
…彼らの間に何が起こったかは……秘密です…(ぽっ)。
あとがき
祝・え、え、え、え、えくすたしーっっ!(何かが壊れました)